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Three-Act Structure

3幕構造と Pacing、ゲーム向けの変形、向いている作風、Echelon の第1層への適用。

映画・演劇から来た最も基本的な物語構造。Aristoteles の『詩学』に遡り、Syd Field と Robert McKee が現代映画作劇向けに整備した。Hero’s Journey が「物語の内容」を整理するのに対し、3幕構造は 「物語の時間配分 (Pacing)」 を整理する。

典拠: Syd Field, Screenplay (1979); Robert McKee, Story: Substance, Structure, Style, and the Principles of Screenwriting (ReganBooks, 1997).


4.1 基礎解説

3幕構造の Pacing 波形

3幕構造は物語を Setup / Confrontation / Resolution に分け、2つの Plot Point で繋ぐ。

各幕の役割

割合役割Echelon での相当
Act 1: Setup25%世界・主人公・問題を提示ロビー〜チュートリアル〜第1層入場
Act 2: Confrontation50%試練・対立・中盤クライマックス第1層メイン(雑魚〜ミニボス〜後半)
Act 3: Resolution25%最終対決・結末双黒の騎士戦〜称号獲得〜ロビー帰還

重要な plot point

  • Plot Point 1 (Act 1 終了): 主人公が日常を離れ、本筋に入る「最初の門」
  • Midpoint (Act 2 中央): 中盤最大の盛り上がり。Hero’s Journey の Ordeal に相当
  • Plot Point 2 (Act 2 終了): Act 3 への突入点。All Is Lost(最深の危機)を経て、解決への糸口を掴む
  • Climax (Act 3 内): 最終対決。Hero’s Journey の Resurrection に相当

Pacing の核心原則

  • 2つのピーク: 中盤の Midpoint と 終盤の Climax。これが2つ無いと退屈
  • All Is Lost の場所: Act 2 後半に意図的な「落とし」を作ると、Climax が際立つ
  • 緊張の波形: ずっと緊張が高いと疲れる。中間に小さな緩和(Reward 等)を挟む

4.2 向いている作風

3幕構造は事実上 全ての直線物語 に適用できる。特に効くのは:

条件理由
明確な開始・中盤・終了がある幕の境界が明確になる
時間制限・目的が提示されるPlot Point 1 として機能
中盤に大きな転換があるMidpoint として機能
明確な最終対決があるClimax として機能
映画・テレビドラマ・直線 RPG時間軸が固定されるメディア

代表的な適合例

  • Star Wars (初代) — デススター破壊までの明確な3幕
  • FFXIV メインクエスト — 各拡張パックが3幕構造
  • The Last of Us — 明確な Act 構造
  • God of War (2018) — 旅の構造が3幕
  • Hades (ループ型) — 1回の脱出試行が1幕相当。10回失敗で10幕

4.3 向いていない作風

条件理由
Open-world Sandbox明確な「Act 2」が設定できない
Endpoints のない live serviceAct 3 が存在しない (例: MMO の endgame ループ)
短い反復型ゲーム (LoL、Valorant)1試合 = 1幕 未満。3幕構造のスケールに合わない
Anthology 形式 (1プレイ = 短編)各プレイが3幕ではなく、単発イベントの連続
Roguelike (一部)1プレイが短すぎて3幕に展開できない。Hades は例外

過剰適用の罠

  • ゲームは映画より遥かに長い: FFXIV 1拡張 = 数十時間。映画の3幕比率 (25/50/25) をそのまま適用すると、Act 2 が20時間超になり、Pacing が死ぬ
  • ゲームは分割可能: 1つの Act を複数のサブ Act に分ける必要がある (FFXIV は patch 毎にサブ幕を作る)

4.4 例外・よくある失敗

失敗①: Act 2 後半の停滞 (Pacing Sag)

最も多い失敗。Act 2 が長すぎて中盤以降ダレる。All Is Lost(最深の危機・「全てを失った」瞬間)を必ず入れる。

Echelon での該当箇所

第1層の中間チェックポイント後〜ボス前までが相当。ここに新たな intent(spread, stack, raidwide)を意図的に配置してダレを防ぐ設計になっている(phase2 §2C の教材順序)。これは Level Design §2.2 Refraction/Repetition/Alteration と連動。

失敗②: Climax の位置を間違える

中盤の Midpoint を終盤に置くと、本来の Climax が埋もれる。Midpoint は「通過儀礼」、Climax は「本番」と区別する。

失敗③: Act 3 が短すぎる

Act 3 は Resolution だが、Climax 後すぐ終わると「あれ?これで終わり?」になる。Elixir(持ち帰るもの)を丁寧に提示する時間を確保する(Hero’s Journey §3.1 参照)。

失敗④: Plot Point が弱い

Plot Point 1 が弱いと「なぜ冒険に出るのか」が伝わらない。主人公の意思決定ではなく、外的事件(誘拐・脅威・予言)で動かす方が強い。

失敗⑤: 全ての Pacing を均一にする

「ずっと緊張が高い」は疲れるだけ。緊張と緩和の波形 を意識する。Reward の後に小さな休息 (Level Design の Negative Space) を挟む。


4.5 ゲーム向けの変形

3幕構造をゲームに適用する場合、映画の比率を変形する 必要がある:

変形①: Act 1 を短く

映画の Act 1 は 25% だが、ゲームでは 5-15% に短くするのが普通。プレイヤーは「早く遊びたい」。長い Setup はスキップされる。

  • FFXIV の拡張パック冒頭: 30-60分で Act 1 終了
  • Hades: 1回目の脱出試行(失敗)で Act 1 完了

変形②: Act 2 を複数のサブ幕に分割

ゲームの Act 2 は長すぎるので、複数の mini-3-act に分割 する。各ダンジョン・地域が1つの mini-Act になる。

  • Echelon の場合: 第1層の雑魚区域 → ミニボス → 中間CP が1つの mini-Act [提案]

変形③: Act 3 を gameplay 重視

映画の Act 3 は感情的カタルシスが主だが、ゲームでは gameplay のピーク を同時に置く。最後のボス戦が Climax であり、最高の gameplay experience であるべき。


4.6 Echelon 第1層への適用 [提案]

Echelon 第1層「草原」を3幕構造で整理:

割合Echelon での内容既定 / 提案
Act 115%ロビー → 職業選択 → チュートリアル → 第1層入場ゲート[既定] phase2 §2H/§2F-1
Act 2 上25%雑魚区域 (avoid 学習) → ゲート1 → 雑魚区域 → ゲート2[既定] phase2 §2F-1
Midpoint-キングスライム戦 (ミニボス1)[既定] phase2 §2D
Act 2 下30%中間チェックポイント → 雑魚 (新 intent) → ミニボス2 → ゲート3[既定] phase2 §2F-1
Plot Point 2-ボス前の Negative Space (最深の緊張)[提案] Level Design §2.4
Act 3 / Climax25%双黒の騎士戦 (層ボス・Resurrection)[既定] phase2 §2C
Resolution5%称号「双黒を砕く者」→ ロビー帰還 → To be continued…[既定] phase4 §4F

Pacing の確認

  • 2つのピーク: キングスライム (Midpoint) と 双黒の騎士 (Climax)
  • All Is Lost 相当: ボス前の Negative Space (BGM 停止・静寂)
  • 緊張と緩和: 雑魚区域 → ゲート → 雑魚区域 の繰り返しで波形を作る
  • 明確な Resolution: 称号 + ロビー帰還 + To be continued…

変形の適用

  • ✅ Act 1 を短く: 15%(映画の25%より短い)
  • ✅ Act 2 をサブ幕に: 雑魚区域 (前半) / ミニボス / 雑魚区域 (後半) / ミニボス2 / Negative Space
  • ✅ Act 3 を gameplay 重視: 双黒の騎士戦が gameplay のピーク

4.7 まとめ

観点評価
基礎解説✅ Pacing 制御の最も基本な道具
向いている作風✅ Echelon の「層攻略」は明確な3幕構造を持つ
例外・注意点⚠️ ゲームは長いので変形が必要 (Act 1 短縮、Act 2 細分)
Echelon への応用✅ 既存の phase2 §2F-1 フローが3幕に整理可能

3幕構造は 「Level Design の空間設計」と「Story Design の時間設計」を繋ぐ接着剤Level Design §4.4 の Rep/Alt リズムと、本ページの Pacing 波形が対応する。


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